うーさぎうさぎ なにみてはねる♪ /ちゃちゃさん
 


「おい・・・、見たか?」
隊士の一人が、ぼそりと呟いた。
視線の先に、土方がいる。
「俺は見てない。」
見てしまったものを、否定するようにもう一人の隊士はみょうにきっぱりと言いきった。
が、どれほど信じたくなくても、見ていないと否定しても、確かに土方は普段と違う。
違う・・・なんてものではない。
その証拠に、土方の行く先々で、ざわざわと、しかし低くどよめきが起きる。
しかし、土方はいつになく不機嫌そうで、うっかりしたことを口にすると、首と胴がお別れしかねない。
いかに命知らずの新選組隊士でも、そんなことであの世へ旅立たなくてはいけないなんて、理不尽すぎるではないか・・・。
よって、隊士たちは互いに突付きあうことになる。
「アレを見たか・・・」と。

そんな隊士たちを見て、笑いを噛み殺してる男がいた。
「くっくっく・・・」
堪えきれずに、笑い声が漏れる。
「土方さん、いつになったら気がつくかなぁ・・・」
そう、彼がこの騒ぎの元凶だった。

さらに、隊士たちにはメイワクこの上ないことだが、彼はこわばった顔で気づかぬフリをしている隊士たちの反応も楽しんでいた。
「ふーん、○○君は結構笑い上戸なんだなぁ・・・」
「ごめん」と一言発して、引きつった顔を隠すように井戸端へ向かった隊士を目で追いながら、のんきに呟く。
そして、驚きのあまり青ざめた顔を伏せる隊士を見ると
「ぶっ・・・!」
噴出しそうになる口元を慌てて押さえた。
それでも、ガマンしきれないのだろう、頬は紅潮し、目には涙まで浮かべている。

今、この状況を楽しんでるのは、間違いなく彼一人だった。
メイワクな話だ・・・。
結構ヒドイ、いや、かなりイイ性格、としか言いようがないが、本人にはその自覚がまったくない。


屯所内の空気が極限状態に近づいたころ、外出していた近藤が帰営した。
当然のように出迎えた土方を見た近藤の細い目が、不思議そうに少し大きくなった。
「トシ・・・、これは?」
土方の頭上に手を伸ばし、”それ”をひっぱる。
「?」
近藤のしぐさをいぶかしげに見た土方が見たもの、それは隊士たちを戦々恐々とさせたものの正体だった。


「総司ーーーーっ!!!」
土方の怒声が屯所中に響き渡った。
手には、ばにーちゃんの耳が握られていた。

                         お・わ・り

ローズさんに頂いた「おきらぶ黄金期キリ番・ 10001番で残念だったで賞」から始まり、「おしおきだべ〜」と続いた悪のりイラスト。あのバニーちゃんの耳の続きはどうなったんでしょう??と某チャットで蒸し返した事からちゃちゃさんの書下しを頂いてしまいました(^O^)
これぞ棚からぼたもちです〜(笑)
ちゃちゃさん、そしてネタ練りにおつき合い下さった皆様ありがとうございました。
一応、 タイトルは私がつけさせて頂きましたが・・・また妙なタイトルですね。